明治時代後期以降主流になった黒麹仕込み。それ以前は鹿児島の焼酎仕込みは黄麹でした。焼酎製造時、黒麹・白麹は雑菌が混入しても酸を生成するため醪(もろみ)の腐敗を防ぐことができます。しかし、黄麹は酸を全く生成しない為、醪(もろみ)に雑菌が混入すると腐敗してしまっていました。温暖な気候、冷却技術、衛生管理等の様々な難題があり、鹿児島での焼酎造りにおける黄麹は次第に淘汰されていきました。雑菌の混入をできる限り避けるため、鹿児島では極めて短い厳寒期にて仕込み、杜氏を筆頭に3人の蔵人は夜も寝ず、徹底した温度管理を行いました。黄麹のみを使い、その他一切を加えず純粋黄麹100%の全量黄麹仕込みが完成しました。
白麹、黒麹にはない黄麹独特の濃厚な香り、味を追い求め、昼夜を問わず『焼酎造り』ともう一度向き合い、「うまい」と感じてもらえる焼酎に仕上がりました。原料にはさつま芋に地元鹿児島県大隅産安納芋(焼き芋)、同じく米麹に鹿児島県大隅産ひのひかり(芋、米、共に弊社関連農場産)を使用。普段、芋を食べる時、「蒸し芋」と「焼き芋」では味が違うように焼き芋を使うと焼酎造りにおいても味が格段に変わってきます。黄麹にしか出せない香りの中に焼き芋の甘さが混ざりあい独特な香り、うまみ、甘さに仕上がっています。
蔵人全員の思いが込もった、また先代から受け継いだ古式黄麹。